3Z銀新。背景が痛々しいなオイ。
以下駄文(ブログの文章に、ちょいと加筆しました)





−−−−−−−−−− 開始 −−−−−−−−−−−
学校には部活動中の生徒と教師だけ。眼鏡越しの夕陽が眩しい。
隣には担任の教師が、僕と手を繋いでいる。
いくら僕が「学校では嫌だ」と言っても、この人は聞く耳なんて持たなかった。
校舎から職員の駐車場までの間、この人は必ず僕と手を繋ぐ。
そういえば、僕と先生が付き合いだして、今年の秋で3年目に突入だ。
長いような短いような、つらい事も沢山あったはずけど、楽しい事しか僕は覚えていない。

(もう卒業なんだな)

夕陽を見ていたら、ふと、そんな事を考えた。
卒業したら、僕と先生はどうなるのか。
生徒と教師という立場はなくなり、対等に接する事は出来るだろうが、今までのように毎日会えるわけがない。
頭ではわかっていても、毎日会えないということが、今の僕には理解が出来ない。
こうして、毎日毎日校舎から駐車場までの道のりに、人目を(一応)避けながら手を繋いでいく行為が、なくなる。

「なあ」

先生が前を向いたまま話しかけてきた。

「お前、大学希望だっけ?」

「ええ、そうですよ」と答えると、先生は吸っていたタバコをつまんで、紫煙を吐いた。そして小さく「そうか」とだけ呟いた。
繋いでいた先生の手に、少しだけ力が入る。
「あのさ」と、また前を向いたまま先生が話す。

「家、出るの?」

一応出る予定だ。
卒業して姉は就職し、そう遠くもない将来クラスメイトのあの男子生徒と結婚するだろう。
付き合ってることを隠してるけど、全校生徒知ってる事実。

「お前、家出たほうが…ほら、第一希望の大学にも近いし、姉貴は近い将来結婚だろ?」
「そうですよね」
「でさー、よかったら俺ンとこ来ない?」

一瞬、何を言われたのか理解できなくて。
「ほら、俺ンとこの方が第一希望の大学にも近いし、家賃も折半で済むしよお」とか先生は言ってた(確か)
先生の言葉を理解しようと、僕は俯いて頭を整理し始める。

「何よりも、毎日いられんじゃん、新八と」

今日初めて呼ばれた自分の名前に、僕は弾かれたように顔を上げて先生を見た。
夕陽に照らされて、銀髪がキラキラと輝く。
僕を見つめる瞳は、相変わらず死んだ魚のような目をしていたけれど、僕にはこの人が照れているのが目を見てわかる。
卒業したって、先生は僕のこの手を離すつもりはなくて。
むしろ引き寄せて抱きしめるつもりでいてくれた事に、僕は嬉しくなった。

「まあ、まだ8ヶ月くらい先の話だけどなー」

また前を向いた先生の横顔は、ちょっと寂しそうで。
僕は先生のお誘いに、全くの無反応だったことを思い出す。

「ふ、不束者ですが、宜しくお願い致します」

とっさに出たソレは、姉があの男子生徒に言う台詞であって。
「おま、俺と結婚するつもりか!」と、先生に珍しくツッコまれた。

「まあ、でも、俺はそういうつもりで一緒にお前と暮らしたいんだけどね」
「せんせ…」
「朝ご飯は、毎日甘い玉子焼きでお願いします、奥さん」
「ばか」
−−−−−−−−−− 終了 −−−−−−−−−−−



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